混んでいた受付を通り過ぎ、エレベーターに飛びこんだ。
向かった先は、一昨日有馬と不安な時を過ごしたあの静かな場所だ。
けれどベンチにもどこにも、有馬の姿はない。
はずれだったかとため息をつきかけた時、集中治療室のエリアから看護師が出てきたのでつかまえる。
「あの! 交通事故で、昨日までここで治療を受けていた女性は……っ」
「残念ですがお亡くなりになりまして、先ほど霊安室の方にご遺体が移されました」
やっぱり、亡くなったのか。
お母さんが嘘を言うはずないことはわかっていたけれど、改めて聞かされるとずんと心が重くなる。
少し迷惑そうにしていた看護師が、さっさと行こうとするのでまたその腕をとった。
「じゃ、じゃあ! 高校生の男の子、来ませんでしたか? 一昨日救急搬送された時、付き添った男の子なんですけど」
「ああ。もしかして、院長のお孫さんのことですか? 彼なら昨日は見かけましたけど、今日はたぶん来てませんね」
「そう……です、か。ありがとう、ございます」


