「有馬? 来てたよ。でも3時間目の授業の途中で帰ったんだ。やっぱまだ具合悪いみたいで、青い顔してたから俺も気になったんだけど」
「途中で帰った……?」
まさか、有馬にも連絡がいったんじゃないだろうか。
あの人が、亡くなったと。寒気が両腕を走る。
「帰ったって……でも、有馬の家って、誰もいないんでしょ?」
「いまの時間なら家政婦のおばちゃんがいると思う」
「……じゃあ、柳瀬くん、有馬のスマホじゃなくて、家の電話番号は知ってる?」
「知ってるけど」
「かけてみて。有馬が帰ってきてるかどうか、聞いてほしいの」
「なんで? 有馬が家に帰らないと思ってるのか?」
「いいから、早く!」
わたしの剣幕に、柳瀬くんは眉をひそめながらも鞄からスマホを取り出した。
周囲の生徒が遠巻きに見つめる中、電話をかける。
なんだなんだと騒ぐ声から逃れるように、教室の隅で電話に出た相手を会話をし始めた柳瀬くん。
すぐに電話を終えて、わたしの前に戻ってくると、その顔はひどく深刻なものに変わっていた。


