明日死ぬ僕と100年後の君


「そうそう。それなのにおばあちゃんたら、いつまで寝てる気だ、掃除ぐらいしろってうるさいのよ。全然眠れなかった。こっちは働いてるんだから、もっと気をつかってほしいわ。ひいばあちゃんに怒鳴る声も聞き飽きた」



うんざりした様子でため息をつくお母さんは、今年43になる。

化粧をしっかりして、スリムで、白髪もないお母さんは年齢より随分若く見える人だ。


でも、たまにわたしと姉妹に間違われるのは、きっと若く見えるせいだけじゃない。



「じゃ、行ってくる。ちゃんと勉強しなさいよ」

「……行ってらっしゃーい」



高いヒールのサンダルをかつかつ鳴らして、お母さんは小走りで病院へと向かう。

その背中は母親というより、ただの女性だ。バリバリ働くキャリアウーマン。


実際お母さんは昔から、家族より仕事が大事という人だった。

母親らしいことをしてもらった記憶はない。

学校行事にはほとんど参加しないし、お弁当を作ってくれるのもいつもおばあちゃんだった。


仕事だから仕方ない。

よくそう言っていたけど、結局は家族のことにあまり興味がないんだと思う。