もしかしたら来ているかもしれない。
望みは薄いと思いながらも、向かった先は学校だった。
というか、ここしかなかったのだ。
わたしは有馬について知っていることはほとんどない。
有馬の家も、行きそうな場所も、お気に入りの景色も、何も知らない。
わたしと有馬を結ぶ場所なんて、学校しかなかった。
わたしが着いたのは、4時間目の授業が始まる直前だった。
私服のまま飛び出してきてしまったので、制服の群れの中でひどく目立っている。
それはわかっていたけれど、気にしている余裕はない。
真っすぐに有馬の教室に向かい、飛び込んだ。
「有馬!」
わたしの声に、教室にいた生徒が一斉にこちらを向いた。
その中のひとり、柳瀬くんが「大崎さん!?」と驚いたように立ち上がる。
「柳瀬くん! 有馬は? 有馬は来てる!?」
「どうしたんだよ、その格好。今日休みじゃなかった?」
「いいから、来てないの!?」
柳瀬くんの大きな体に、つかみかかるようにして問い詰める。
柳瀬くんは戸惑いながら口を開いた。


