明日死ぬ僕と100年後の君


おばあちゃんが眉を寄せ、睨むように見てくる。

般若のようだけれど、こちらの方がいつものおばあちゃんなので怖くはない。



「誰がそんなこと言ったんだい」

「ずっと前のことだよ。うちの家系は、女が男の命を食って生きてるんだろう。だから長生きなんだ……って」

「バカバカしい。そんな言葉信じたのかい? 確かにあたしの旦那もあの子の旦那も早くあの世にいっちまったけどね。ばーちゃんの妹の旦那や、ひいばーさんの兄弟で普通に寿命を全うした男はいるよ。うちが特別長寿だから、面白おかしく噂する奴がいただけさ」


はじめて聞く事実に、目から鱗が落ちた。

自分をがんじがらめにしていた紐が、あっけなくするするとほどけていく。



「そう、なの……? 本当に?」


信じられない気持ちでおばあちゃんを見る。

声は情けなく震えていた。


そんなわたしに、おばあちゃんはあきれるように、けれど微笑ましげに目を細めた。





「……なんだ。あんたもう、好いた男がいるんだね」




その言葉に目を見開いた時、廊下をパタパタと駆けてくる足音があった。

振り返ると、スマホ片手にお母さんが部屋に入ってくるところだった。