明日死ぬ僕と100年後の君





聖人からの「嫌いだから」宣言は、放課後になっても尾を引いていた。

午後をずっと憂鬱な気分で過ごさなければいけなくて、帰り道もあの困ったような笑顔ばかり頭に浮かんではイライラしていた。


気付けば家の、年季の入った傾いた塀の前に立っていて、短いため息をつく。

学校だろうが家だろうが、憂鬱なのは変わらない。


いまどき木造で瓦屋根の我が家。

周りにおしゃれな外観の家が建ち並ぶ中、うちだけ違う時代の異空間に建っているみたいだといつも思う。


大きな地震があったら、真っ先にうちが崩れるだろうなあ。

そんな不吉なことを考えていると、その倒壊必至の家から慌てたように飛び出してきた人がいた。


「お母さん」

「あー、いくる。お帰り」

「これから夜勤?」


細身のデニムパンツに水色のシャツを着たお母さんは、短い髪をしきりに撫でて整えている。

寝坊したんだろううなとすぐにわかった。


でもお母さんの目の下に化粧では隠し切れないクマを見つけてしまい、何も言えなくなる。