できれば、吸収されていてほしい。
有馬の身体は拒絶しても、それは有馬にとって必要なもののはずだから。
「有馬……」
「大崎、さん?」
「うん」
涙を浮かべながら、汚れた口元を拭う有馬。
その手が小刻みに震えていた。
「ごめん……汚い」
「気にしないよ。全然」
本当に、気にならなかった。
気になるのは有馬の心だ。
有馬が壊れてしまわないか、不安で仕方ない。
有馬が嫌だろうから出来ないけれど、抱きしめたいと思った。
こんなに人がいる中でも、そうしたいと思った。
「有馬!」
「柳瀬くん……!」
人垣を押しのけて柳瀬くんが駆け寄ってきた。
彼の顔を見てほっとしたのは、わたしだけじゃないはずだ。
「どうした。気持ち悪いのか? 熱は?」
有馬が首を振る。
柳瀬くんは眉を寄せて少し考えたあと、有馬の腕をとった。


