わたしは離れたところから、それを見ていた。
不安だったから。
有馬がきちんと“食べられる”のか。
だから有馬が歩き出し、それを口の中に入れた時、ほっとした。
本当に、ほっとしたんだ。
けれど次の瞬間、口を手で覆い、背を丸めた有馬。
廊下に膝をついた瞬間、彼は吐いた。
苦し気にえずき、盛大に吐いた。
そばにいた生徒が悲鳴をあげる。
人が集まってくる。
有馬はその間も何度も吐いていた。
まるで胃の中のものを、全身で拒絶するように。
「有馬……!」
集まってきた生徒をかきわけて、有馬のそばに駆け寄る。
痙攣するように震える背中を、強くさすった。
大丈夫だから。そう伝わるようにさする。
何が大丈夫かなんてわからない。
とにかく有馬を安心させたかった。
吐き出したものの中に、あの光る玉は見当たらない。
どういう仕組みになっているのかわからないけれど、一緒に吐き出されたんだろうか。
それとも飲みこんだ瞬間、それはすでに有馬の中に吸収されたのか。


