「……は?」
聖人が口にしたセリフの意味を、わたしは一瞬理解することが出来なかった。
なんというか。聖人と崇められている彼の、善意の塊ですといったような微笑みとは、不釣り合いな言葉が飛び出た気がして。
いま彼はもしかして、毒を吐いたんだろうか。
あんなに爽やかな声で、敵意なんてまるでないような顔をして。
また猫が鳴いた。「ニャウン」と同意するように。
人間みたいに表現豊かで、なんだか目の前の不思議な毛色の生き物が、少し気味悪く思えてくる。
いや、そうじゃなくて。それよりも。
わたしいま、目の前の人に「嫌い」って言われた?
初対面の人間に、面と向かってそんなことを言われたのははじめてで、どう反応していいのかわからない。
怒るべきところなのかもしれないけれど、驚きが強くて呆然とすることしかできなかった。
小さくはないショックを受けて固まっていると、聖人はあの困ったような笑みで何事もなかったかのように続けた。


