わたしは一瞬迷ったけれど、有馬を追いかけることにした。
ガシャガシャうるさいビニール袋が重くて邪魔だ。
数十メートル先で女性は子どもを捕獲していた。
先に追いついた有馬が、女性に声をかけている。
「これ、落としませんでしたか?」
「あ! ありがとうございます! すみません。助かりました。何かお礼を……」
「いいえ、お気になさらず。たまたま拾っただけですから」
穏やかに爽やかにそう言って、有馬が膝を折る。
すぐに追いついたわたしは、少し離れてそれを見守った。
「お嬢ちゃん。お母さんと手を繋いで歩くんだよ」
有馬に微笑まれた女の子は、じっと有馬を見つめたあと、かくんと頭がもげそうなうなずき方をした。
そして照れたように、女性の後ろに隠れてしまう。
顔だけ出してちらちらと、有馬をうかがう姿が愛らしい。
わたしのあるかどうかもわからない、母性のようなものがうずいた。
「すみません。人見知りで」
「可愛いですね。それじゃあ、失礼します」
「あっ。あの、本当にありがとうございました」


