「大崎さんは、僕にしてほしいことがある? 僕が君にできることはある? 僕に頼みたいことはある?」
ないだろう?
わかりきっている、といった風の有馬に、心の中でそんなことはないと返す。
実はけっこう、あるかもしれない。
でもそれを口にするのははばかられた。
だって言えないだろう、普通。
もっと優しくしてほしいとか、頭を撫でてほしいとか、笑ってほしいとか。
誰よりも、部活の後輩よりも特別にしてほしい、とか。
そんなことを面と向かって言えるほど、わたしは素直じゃないし、恋に慣れてもいなかった。
「だから、命をもらってほしいって言ってるのに」
「それは却下だって言ってるだろ」
「もらってくれれば、誰よりも、心から感謝するのに……」
もしそれが叶ったら、その時は確実に、わたしは有馬の特別になれる。
そんな浅ましい下心さえ芽生えてしまい、どうしたらいいのかわからなくなる。
頭と心がこんがらがっていた。
自分がつらいから死にたいのか、有馬の役に立ちたいのか、恋心が暴走しているだけなのか。
自分で自分がわからない。


