「君の話を聞いていたら、そうなのかもしれないね。だとしても、僕は君が羨ましい。必死に人に感謝されるようなことをして、代償に人から命をもらわなくちゃ、明日死んでしまう。毎日ギリギリの状態でかろうじて生きている僕にとって、明日の心配をしなくていい君が、羨ましくて、憎らしいんだ」
「だったら……」
「だからと言って、君からタダで命をもらうのは違う。君が憎いからって、僕の罪悪感が薄れるわけじゃないんだよ」
わたしを見てそう言った有馬の声は、悲し気だった。
ああ、そうだった。
だからボランティアなのだ。
有馬の聖域で、ボーダーライン。
人ならざる力を持ってしまった有馬が、人としてあるために必要な最後の砦。
そんなものは必要ないとわたしが言ってしまったら、有馬は人として生きられなくなるのか。
なんだ、それ。
そんなのってない。不毛だ。やってられるか。
不意に笑いだしたくなる衝動にかられた。
いや、これは泣きたいのか。
笑いたいのか泣きたいのか、自分でもわからなくなってきた。


