身体の真ん中で、花が咲いた。
大きな花びらがふわりと羽のように広がって。花びらの中で大切に守っていた何か。
それが甘い香りとともに一瞬でわたしを包み込む。
嬉しい。そう、嬉しいのだ。
わたしは有馬に頭を撫でられて、これ以上なく喜んでいる。
ずっと羨ましかったのかもしれない。
有馬に優しくされる、頭を撫でられる久保さんのことが。
いまようやくわかった。原因不明の胸の痛みは、これだったのか。
自分で自分が理解できない。
どうして有馬なのか。
初対面でいきなり「嫌いだ」と言われたのに。
聖人なんて呼ばれ、わたしとは真逆にいる存在なのに。
他人の命を食べてまで、必死に生きようとする眩しい人なのに。
「大崎さんが本気で良い施設が知りたいと思うなら、手伝うよ。いままでの経験とかツテで、紹介したり調べたり、協力できる」
「……協力?」
有馬が、わたしに力を貸してくれる。
そう考えた時、頭に浮かんだのはあの光景だ。
有馬の手の平に乗る、ぼんやりと光る玉。
小さく、触れれば消えてしまいそうな、人の命。


