猫もだけど、聖人もちょっと感じが悪いと思うのは、わたしの心が狭いからだろうか。
友だちが言っていた聖人のイメージと、目の前の有馬夕星という男子のイメージには、微妙にずれがある気がしてならない。
「あのさぁ。今日出なくていいんなら、もうわたし行くね」
「あ、ごめん。気を悪くした? 別にバカにしたわけじゃないんだけど、おかしくて」
コホンとわざとらしく咳払いして、聖人が猫の首根っこをつかんで持ち上げた。
その手つきの乱暴さにギョッとしているうちに、片腕で小さな身体を抱きかかえる。
猫は暴れるどころか、すっぽりその腕におさまって心地よさそうに金色の目を閉じた。
「……懐いてるじゃん。ほんとに飼ってるんじゃないの?」
「飼ってないって。別に仲が良いわけでもないよ。ただまあ、気は合うのかも」
「気が合う? 猫と?」
まるで猫の考えていることがわかるとでも言うように聴こえて、鼻で笑いそうになる。
そうだとしたら、随分とメルヘンチックだ。
聖人は不思議な毛色の猫の頭を、少し乱暴に撫でて微笑んだ。
「僕もね、君みたいな人間が嫌いだから」


