明日死ぬ僕と100年後の君


「施設の全部が、今日みたいな所なわけじゃないよ。まともな施設もある。少なくとももっとアットホームで、入所者を人として扱ってくれる所はちゃんとあるよ」


ひび割れた心に、有馬の優しい声が沁みる。

なぐさめるというよりも、子どもに言い聞かせるようなゆったりとした有馬の言葉にかぶりをふる。



「そんなの、わかんないじゃん。ボランティアや面会の家族がいなくなった途端、態度が変わってるのかもしれない。そういうの、外からじゃわからないよ……」

「わかるよ。これでもいままで色んな施設に、何度もボランティアに行ってるんだ。雰囲気がちがうからすぐにわかる。ここは温かい施設だ、冷たい施設だって」


だからそう落ち込まないで。

そんな優しい言葉をかけられて、思わず足が止まる。


じわじわと、胸の奥の方から熱いものがこみあげてきた。

涙の膜で視界がにじむ。


この人の優しさに初めて触れた。

わたしに向けられるなんて思っていなかった、柔らかな声。


有馬の手が、わたしの頭にそっと降りてきた。

優しい手つきで1度、2度と撫でられて、ぎゅっときつく目を瞑る。