別れても、生きているだけマシだろう。
なんて、一瞬でも冷たいことを考えてしまった自分に愕然とする。
これじゃあ本当に久保さんを責めたいみたいだ。
「久保さんの家はまだ下の兄弟が小さいし、家族の人数も多い。お母さんひとりで育てていくには、金銭的に大変なんだよ。だから彼女は少しでもお母さんを助けられるように、推薦でレベルの高い大学に確実に入りたいそうだよ。それで奨学金をもらって、稼げる職に就きたいんだって。そのためにうちの部活に入ったんだよ」
「随分詳しいんだね」
「入部の時に、彼女の方から話してくれたからね。そんなのバカ正直に言うことないのに」
いい子だよ、本当に。
そうやって久保さんをフォローする有馬に、また胸の奥の方がちりちりする。
確かに久保さんはいい子だ。
明るく元気で、気遣いができて、家族思い。わたしとは正反対だと、有馬も思っているだろう。
誰にでも好かれるいい子。
もしかしてわたしは、彼女が妬ましいのだろうか。
それが無意識に、態度に出てしまっているのだろうか。
だとしたら最悪だ。
頭を悩ませていると、あの猫が現れた。


