彼はたぶん、有馬のことを見守るために入部したんだろう。
彼もまた、善人というわけじゃない。
ただ、友人のことを心配しているだけの、普通の人だ。
「わたしは……」
その隣りで、久保さんは迷うように視線を下げる。
何かに怯えるようにも見えて、もしかしたらまた、わたしに責められていると感じたのかもしれないと気づいた。
そんなつもりじゃないと言おうとした時、彼女はぐっと両手を握りしめて勢いよく顔を上げた。
「すみません! わたし、自分の為にやっています!」
「……え?」
「どうしても内申を上げたくて! ボランティアに参加するとかなり有利になるので、それならボランティア部に入れば確実だと思って入部しました!」
ヤケ気味にそう言った彼女の理由は、言い訳というよりも宣言に聴こえた。
わたしはこういう人間なんだと、覚悟を決めて叫んでいる。
「こ、こんな理由で、すみません……」
堂々としていたかと思えば、もう背中を丸めて縮こまる。
そんな後輩に有馬はまた、優しく頭を撫でていた。


