「そうですね。わたしも最初びっくりしましたけど……。でもわたしがどう感じるかは、施設にいる人たちにとっては関係のないことだから。そういうものなんだと割り切ることにしました」
憐れんでも、憤っても、どうにもならない。
やることは変わらない。
だからそういうものなんだと、それが普通なんだと思ってやるしかない。
ふたりはそう言いたいらしい。
それは確かに正しい。
でも正しいことは、優しいことでも温かいことでもないんだと、教えられた気分だ。
「じゃあ……どうしてボランティアなんてしてるの?」
有馬の理由は知っている。
彼にとってボランティアは、1日分の命の対価だ。
彼は聖人でも、そして善人というわけでもなかった。
そのことに落胆しながらほっとする、矛盾したわたしがいる。
「どうしてって、俺は特別な理由なんてないぞ。有馬に誘われたから、空いてる時ならやってもいいかなと思っただけで」
坊主頭をかきながら、柳瀬くんにしては珍しく言い訳でもするようにぼそぼそと呟く。


