自分で動けない人ばかりなのだろうことは、わたしにもわかる。
でももっと、自由があると思っていた。
自分で動けなくても介護員がいる。
介護員に部屋の外に出してもらって、他の利用者さんとお喋りをしたり、お茶を飲んだり。
本を読んだり、絵を描いたりする自由が。
そういう人と人との関りや繋がりがあるものだと思っていた。
でもここにはたぶん、そんなものはない。
庭の端まで来て、そのあっけなさにため息も出ない。
ただあるだけの庭。
庭に出ようと思えるような、楽しみの何もないこの場所をどうして作ったんだろう。
来たばかりだけど、虚しくなるだけなので戻ろうと思った時、角にぽつんと立つ一本の木に気付いた。
「あ……梅の木」
とっくに花は散って、葉が生い茂るだけになっているけれど、ひとめで梅だとすぐにわかった。
植物に特別詳しいわけじゃない。
昔から見慣れている梅だからわかっただけだ。
自然と車椅子を梅の木に向けて押していた。
すぐそばまで来て見上げ、枝が乱暴に剪定されていることに気付き、眉をひそめる。


