明日死ぬ僕と100年後の君


「寒くないですか?」

「てえー……」

「なんだかいまにも降り出しそうな空ですね……。少し歩いたら戻りましょうか」


うちのジャングルみたいな庭よりは広いけれど、建物の大きさからいえばこじんまりとした施設の庭。

見回せば、手入れはきちんと行き届いていた。

雑草は刈られているし、道も車椅子がスムーズに進めるよう綺麗に舗装されている。


ただ、誰もいない。

庭にはわたしと梅さん以外、人の気配がしなかった。

ロビーもそうだ。まさか全員、部屋に閉じ込められているんじゃないだろうかと不安になるくらい、誰もいなかった。

廊下でも職員以外は見かけていない。


ここはあまりに静か過ぎる。


こういう施設の中に入ったのは今日が初めてだ。

ここに来るまでは病院と似たようなものだと思っていた。

病院はお母さんの職場ということで何度も訪れたことがある。


医者や看護師と患者の関係のように、介護員などの施設職員と利用者という関係が、この建物の中にあるのだと。

病院よりも長く深く生活する分、その関係は密接なんだろうと想像していた。


それがどうだろう。

施設というのは、こういう場所なのだろうか。