まさか、あれで終わり?
車椅子の操作の説明は前もって有馬から聞いていたけれど、あの職員からは何の指示もなかった。
まるで仕事をまるっと放り投げるような態度に唖然とする。
わたしたちはまだしも、利用するお年寄りにひと声かけることもしないなんて。
不愛想にもほどがあるだろう。
ここにいるのは、ひいばあと同じ人たちだ。
わたしだったら、ひいばあにあんな態度はとらない。
目線を合わせるのは当然として、もっと話しかける。
「今日は高校の生徒さんたちが来てくれましたよ」とか「若い人とお話できるなんて嬉しいですね」とか。
とにかく存在を無視するような態度はとらない。
そんな風に内心職員に文句を言って、面白くない気持ちになっていると、不意に肩を叩かれ我に返る。
「え……?」
ハッと叩かれた肩の方を向くと、すぐ横で有馬が怪訝そうにわたしを見つめていた。
「な、なに?」
「なにって、さっきから呼んでるのに。聞こえてなかったの?」
「えっ。呼んでた? ごめん、気づかなかった……」
「体調でも悪い?」


