明日死ぬ僕と100年後の君


そんなわたしにもお礼を言ってくる久保さんは、もともと人間が出来ているということなのか。

それとも、彼女を慰めていた有馬の存在が大きかったのか。


どうでもいいけど。わたしには関係のないことだし。

そう思うのに、どうしてか胸がチクリと痛む。

痛みの理由は深く考えないようにしていた。


少し待っていると、介護員に車椅子を押され、利用者のお年寄りたちが集まってきた。

ゆっくりと、静かに、淡々と。

部屋を出る順番やスピードすら決まっているかのように、お年寄りが横一列に並べられる。



「それじゃあよろしくお願いします。利用者さんを車椅子から降ろしたりはしないようにしてくださいね。庭には出ていいですが、敷地の外には出さないように。何かあれば私か、介護員室にいる職員に声をかけてください」



4人目のおばあさんの車椅子のブレーキをかけると、40代くらいの女性介護員は淡々と言い、愛想笑いのひとつもなく去っていった。

忙しいんだから余計な手間はかけさせるな、とその背中は言っていた。


驚きで声をかけることさえ忘れてしまう。