明日死ぬ僕と100年後の君




そこは独特の匂いに満ちていた。

衣食住、生活のすべてが詰まった匂い。

人の身体から出る濃い匂い。それから微かな消毒液の匂い。


安心できる匂いとは言い難い。

どこか落ち着かない気持ちにさせられる、そんな匂いがこの建物には染みついている。


学校の最寄り駅からバスで30分ほどの場所にある、特別養護老人ホーム。

今日のボランティア活動はそこでの利用者さんたちの話し相手、それから散歩の付き添いだ。


今回は野球部の練習が雨で中止になった柳瀬くんも参加していた。

そのことにどこかホッとしている自分がいる。

有馬と久保さんとの3人での活動には、どこか息苦しさを感じていたから。


広く開放的なロビーのような空間に、大型のテレビ、それから4人掛けのテーブルが6つほど並んでいる。

あいにくの曇り空で、窓からの光は弱い。

天井のライトはついているのに、なぜかひどく薄暗く、寒々しい空気が流れていた。