からりと笑って、柳瀬くんがわたしの肩に手を置いた。
力の強い彼は軽く叩いただけのつもりだろう。
けれどわたしには、一瞬肩が外れるんじゃないかと思うほどの衝撃だった。
「俺、いつもいるわけじゃないからさ。大崎さん頼むよ」
「えっ。な、なにを」
「あいつのこと。危なっかしくてさ。いつか糸が切れた凧みたいに、どっか飛んでっちまう気がして目が離せなかった。だから大崎さん、あいつのこと見ててやってくんないかな」
高い位置にある柳瀬くんの顔を見上げ、唖然とする。
どうしてここでわたしに頼んでくるのか、さっぱり理解できなかった。
「な……なんで、わたし?」
「うーん。なんとなく? 有馬も大崎さんには心を開いてる気がするし」
どこが? と出かけた言葉を飲みこむ。
一体どこを見て柳瀬くんはそう感じたというんだろう。
わたしよりよっぽど、久保さんの方が有馬の心を開いているじゃないか。
そうだ。彼女のほうがずっと、わたしより有馬の近くに立っている。


