「え……そうだったの?」
それはまさに、わたしが仮入部する前のボランティアのイメージだった。
そんな非日常の中に、有馬の両親はいたのか。
死と隣り合わせの生活なんて、わたしには想像もつかない。
わたしにとって死は、他人よりもずっとずっと遠くにあるものだから。
「ああ。だからもしかしたら、亡き両親の意思を継いで、っていう想いなのかもしれないな。まあ、それにしてはなんつーか……」
「柳瀬くん?」
言い淀む柳瀬くんは、彼にしては珍しく暗い表情を見せた。
「いや……なんか、キツそうに見えるんだよな。両親の意思を継いで燃えるどころか、あいつはいつだって追い詰められてるような顔してる気がして」
「追い詰められてるような顔……? でも有馬って、いつも笑ってるよね」
でも、そういえば。
時折わたしに対して、表情をごっそりと削ぎ落したような顔を見せる。
あれはたぶん、柳瀬くんや久保さんには見せない表情だ。


