色素の薄い髪が風にあおられて、綺麗な額が露わになる。
有馬はやっぱり困ったように微笑んでいた。
ほどなくしてゴミを集め終わると、男子生徒が有馬に何度も頭を下げ、ゴミ捨て場の方に走り去っていった。
そして残された有馬の手の中には、あのぼんやりと光る玉が。
『僕は人の命を食べて生きている』
あの時の有馬の声が頭の中で再生された瞬間、眼下の彼は光る玉をぽいっと口の中に放り込んだ。
本当に、飴玉を食べるように気軽で、躊躇いのない動作だった。
当たり前か。
有馬の話が本当だとしたら、彼は事故に遭った4年前からずっと、毎日あの行為を繰り返しているのだから。
躊躇いなんてとっくになくしているだろう。
「そんなにあいつが気になるか」
「うわっ! び、びっくりした……おっさんか」
突然足元からしゃがれた男の声がしたかと思えば、廊下にちょこんと猫が座っていた。
相変わらず違和感がすごい。
けれど一度受け入れてしまえば、その奇妙な存在はすんなりと、わたしの日常に溶け込んでいった。
「こんなに人の多いところに堂々と入ってきていいの?」
「猫が学校に入っちゃいけねぇ校則でもあるのか?」
「猫じゃないじゃん。死神のおっさんじゃん」
「吾輩は猫である」
たぶんおっさんの渾身のギャグなんだろうけれど、ちっとも笑えないのでスルーした。
それに不満そうにひと鳴きし、おっさんはさっきとまた似たような質問をしてきた。


