「まあ、そんなようなものだよ。大崎さん、ほんと意外と鋭いなあ」
おかしそうに言われて、カッと頭に血が上った。
「バカにしてるの?」
怒りのまま睨みつけるわたしに、有馬は驚いたように首を横に振る。
「まさか! 本気で言ってるんだよ。なぁ?」
有馬が足元の猫に同意を求めるように声をかければ、猫もまるで返事をするように「ナーン」と鳴いた。
いよいよもって、変な猫だ。
空気を読んで合わせる、なんて芸当が出来る猫がいるわけないのに。
「ほんと、くだらない。結局自分に酔ってるわけだ。ボランティアは義務、だなんて言っちゃってさ」
「言うね、大崎さん。厳しいなあ」
「だって、みんなに聖人なんて崇められて、いい気分なんでしょ? 偽善じゃん。自分が気持ちよくなる為の偽善。そういうの、大嫌い」
意趣返しのつもりで口にした「大嫌い」が、舌の上で苦みを残す。
こんなことが言いたかったわけじゃなかったのに。
誰かを悪く言ったところで、すっきりしないことなんてわかっているのに。


