「言ってるじゃん。有馬がわたしを嫌いなのって、そういうことでしょ?」
「僕は……」
「まあ、いいけど。別に責めてるんじゃないし。でも、有馬にも本当はわかったんじゃないの? 隼人くんの気持ち」
大切に愛されていると思っていた有馬も、家族をいっぺんに亡くしている。
むしろわたしよりも、有馬の方が隼人くんの喪失を理解できるんじゃないだろうか。
「……もしかして、柳瀬に何か聞いた?」
有馬は横目でじっとわたしを見つめ、そう聞いてきた。
ぎくりとして、不自然にならないようゆっくりと視線をそらす。
「何かって?」
「聞いたんだね。あいつもお節介だなあ……」
歩調は変えないまま、有馬はあきれるような、笑うような声で呟いた。
心の中で、柳瀬くんに「ごめん」と手を合わせる。
秘密だと約束したのに、あっさりと有馬に気付かれてしまった。
嘘や演技が得意だとは思っていなかったけど、ここまで大根だとは自分でもがっかりだ。


