「ごめんごめん。わたしには何の得もないってこと。いいじゃん、短冊なんて書かなくたって。わたしなんてもう何年も書いてないよ。
だいたいさ、意味不明だよね。織姫と彦星がデートする日に、なんで関係のないわたしたちが勝手に願い事を書いて叶えてもらおうとするの? わたしたちの願いを叶える余裕があるなら、1年に一度しか会えない織姫と彦星を、毎日会えるようにしてあげればいいのに」
わたしが長年不思議に思っていたことを話すと、隼人くんは隣で腕を組み、少し考える仕草のあとうなずいた。
「……確かにそうだよな。神様ってケチなのかな?」
「うーん。ケチかはわかんないけど、もしかしたら実際はそんなにすごい力なんて持ってないのかもよ。だから願い事を書いた短冊が何万枚あっても、その中で叶うのなんてほんの1、2枚なんだよ、きっと」
「なんだよそれ、宝くじみたいなもんじゃん。おかーさんがさ、よく買ってたんだよ、宝くじ。1回も当たったことないのに、なんでか買ってた。そんでいっつも、まーた外れた!って怒ってたんだよな」
隼人くんの口から『お母さん』という単語が出てきたことにドキリとする。


