俺は怒っている。だから部屋には戻らない。
そう小さな身体全部使って訴えているようだ。
子どもらしくてかわいいなと思う。
わたしはこういう主張が許されなかったから、少し羨ましい。
「逃げて来た」
「は……?」
「わたし、短冊に書けるような願い事ってないから、逃げて来たの。ちょっとだけ匿ってよ」
とても困っているという風にお願いすると、隼人くんの頑なな姿勢が緩むのがわかった。
「そ、そんなこと言って。ほんとは俺のこと連れ戻しに来たんだろ」
「いや、別に。だってそんなことするメリット、わたしにはないし」
「……メリットって、シャンプーの?」
ぶふっとついふき出してしまって「笑うなよ!」と怒られる。
生意気だけど、やっぱり子どもだ。
このままの、子どもらしいままの彼でいてほしい。
わたしにはムリだったけど、どうか1日でも長く。
そう願わずにはいられなかった。


