いなくなった理由はわからない。
だから隼人くんは別れたという感覚も、捨てられたという感覚もはっきり持てず、ちゅうぶらりんのままここで半年も過ごしているのだ。
ひとりぼっちでお母さんを待っている間、どれほど寂しかっただろう。
どれほど心細かっただろう。
どれほど、怖かっただろう。
そしてきっといまも、隼人くんは待ち続けている。
隼人くんは本当は、短冊に書きたいことがあったんじゃないだろうか。
でもそれは書けないと、思ったんじゃないだろうか。
書いたってしょうがないと、子ども心に理解していたんじゃないだろうか。
わたしの想像でしかないけれど、考えれば考えるほど、胃に鉛のような重しが落ちていく気がした。
やるせなくて仕方ない。
「わ、わたし、本当に、そんなつもりじゃ……」
いまにも泣き出しそうに声をふるわせる彼女が、悪い子ではないことは知っている。
たぶんひねくれたわたしの何倍もいい子だ。
明るく元気で、思いやりに溢れている。


