「夏休みだから、余計にドラッグの広がりが早いぞ。風俗店も何件か、MESSIAHからの売り込みがあったらしい。」

「売り込ませるなよ。」

「きつく言っておいた。」

「じゃあいい。そっちはどうだ、伊織。」

「大体はしぼれた。」



タプレットを差し出しながら言う元副総長。

表示されていたのは町の地図。

何か所か、赤く点滅していた。



「赤いところが、MESSIAHのガキ共が悪い金を稼いでる場所だ。」

「ずいぶんあるな、売春場所?」

「これとは別に、車でも移動してるそうだ。」

「行商かよ!?ガキのくせに・・・」

「データを分析した結果、次に行われるのはこの店だろう。」

「間違いないか、烈司。」

「どんぴしゃで。」

「わははは!人間殴れるチャンスキタ―――――――!!」

「あら、急がなくっちゃ!カツラは急いで注文するとして~凛ちゃん、大丈夫かしら・・・パトロールのお手伝いで、家出少女の捜索してるならいいけど・・・凛ちゃん1人だと心配だわぁ~ねえ、れーちゃん?」

「凛たん1人なら、そんな気がする。」

「おいおい、マジかよ!?参ったな・・・」

「なぜ凛道に言わない、瑞希?」

「あん?」



タプレットから視線をはずした伊織が、とうとつに俺に聞いてきた。





「MESSIAHが薬を仕入れている相手が、九条アキナかもしれないということをなぜ凛道に言わない?」

「だから言わねぇんだよ。」





(アキナは、俺の弱点が凛だと知った。凛はアキナが俺を困らせる存在だと思っているところがある。そんな2人をMESSIAHの件でつないでしまったら、どちらも無傷では済まない。)



それがあるから、凛がMESSIAHと関わるのを禁止したんんだが・・・!



(なんとなーく、首を突っ込んでいるような気がしてならないんだよな・・・)



〔★その勘は正しい★〕