本人に聞こうにも、走り去ったので呼び止めるのは無理。

LINEでも送ればいいが、とてもそんな元気はない。



(今は、瑞希お兄ちゃんへの報告を優先しよう・・・!)



そう決めて、フェリチータへとダッシュで走る。




「瑞希お兄ちゃん、いるかな・・・」




そっと裏口の戸を開ける。



(他の皆さんもいる・・・?)



あれから数時間経っているので、帰っていてもおかしくない。




「みーちゃん似合う!」




声をかけようとして動けなくなる。




「ホントキュート!可愛い~!」

「美人じゃんか、瑞希。」

「成功例だな。」

「わははは!似合うな、おい!」

「うるせぇ!」



(え!?あれが、瑞希お兄ちゃん!?)




黒のロングヘアに、ハイネックのスーツ系のミニワンピース。

レースで出来たラメ入りのショールを肩からかけて、ヒールあるロングブーツを履いていた。

左腕にはアップルウォッチをつけ、小指に可愛い指輪をはめている。


目に映るのは、キレイな女性。



・・・のように見えたけど、女性の姿をした瑞希お兄ちゃんだった。




(何のご褒美ですかぁぁぁぁ――――――――!!?)




〔★凛の幸福度が上がった★〕



何が起こったのかわからない。

どういう流れで、瑞希お姉ちゃんがお姉ちゃんに変装しているの!?

全力で気配を消しながら、様子をうかがう。

後悔する。



(こんなことなら、つなぐから忍術をならえばよかった!)



〔★のぞきに使ってはいけない★〕



ドキドキしていれば、メイク道具を片付けながらモニカちゃんが言った。



「みーちゃん、本当に凛ちゃんに内緒で動くの?」



(え?私に内緒?)



「たりめぇだろう?」



心配そうに言うモニカちゃんに、ミニスカの瑞希お兄ちゃんは言った。



「凛が完全に首を突っ込む前に、俺がケリをつける!MESSIAHが未成年の家出人をたぶらかして悪さしてるなら、オトリになるっきゃないだろう!?」



おとり!?それじゃあ、そのお姿は・・・・



(MESSIAHと戦うための変装!?)



「瑞希なら、未成年に見えるからな。俺らじゃ、無理ある。」

「うむ、面も割れてるから、男のまま潜入させるわけにはいかないが・・・」

「女の子に変装したら、万事解決よねぇ!女顔だから、女装に違和感がないわ!」

「わはははは!瑞希お姉ちゃん、色っぺー!」

「大きなお世話だよ。」



(変装なんだ・・・)



〔★凛は納得した★〕