最後の委員会は担当教師のねぎらいの言葉と共に終わった。

生徒たちはそれぞれ帰り支度をはじめている。


坂井は隣で腕を伸ばしながら優羽に言う。



「帰ろっか、赤崎さん」



優羽はうなずき、鞄を手に持つ。



坂井と二人で帰る時、いつも駅まで一緒に歩き、そこからは乗る電車が違うので別れる。というのがお決まりだった。

だが、今日はこうやって帰るのも最後かもしれないと、坂井はいつもの駅よりもう一つか二つ向こうまで歩こうと提案してきた。



「そこまで遠くないですし、私は良いですけど…
先輩は定期区間外になっちゃうんじゃ…?」


「大丈夫大丈夫。大して変わんないよ」



坂井はそう言いつつ、口許に笑みを浮かべた。

優羽は、何故かその笑みに違和感を覚える。



(坂井先輩って、こんな風に笑うっけ?)