心臓の音がうるさい。

このまま心臓が口から出てくるんじゃないかってくらいにドキドキしている。


なのに…不思議と、玲也の腕の中はホッとした。



「俺も…優羽ちゃんのことが好きです」



腕の力が緩められ、優羽は玲也の顔を見上げた。



「君が、いつ店に来てくれるのかって、いつからかそれを気にして、ドアの方ばかり見るようになってた。
来てくれた時は、舞い上がるほど嬉しいのに、どうして良いのか分からなくなって…
結局、普通にメニュー渡して注文とって、運んで会計して…少しの後悔と共に見送る。
そんな繰り返しだった。」



目を細めて話す玲也の顔は、心なしかいつもより赤かった。

けど自分の顔はそれとは比べ物にならないくらい赤いんだろうな、と思う。



「でも…手紙をくれたこともありましたよね?」


「はは、あの時は死ぬほど緊張したな…
優羽ちゃんが返してくれた手紙は、今でも大事にとってあったりする…って、ちょっと気持ち悪いかな?」



優羽はブンブンと頭を横に振る。



「私もです。神田さんがくれた手紙、筆箱の中にしまって、落ち込んだ時に読んでは元気をもらってます」



照れ笑いを浮かべながら言うと、玲也は似た者同士なのかな、と笑った。