完璧王子の溺愛事情


「…立花さ、男、嫌いだろ」

私が言ったあとに小鳥遊くんが一言。


「なっ、なんで…」


今、二人きりという時点でも恐怖。
早くこの部屋から出たい。

「あっ、あの…拾ってくれてありがと…」

震える声で資料を半ば強引に受け取る。
だけど小鳥遊くんはそう簡単には離してくれなくて。


「待て立花」

「たっ、小鳥遊くん…っ」


腕を掴まれて、再び震え出す。

無理…
無理っ…。


「お願いっ…小鳥遊くん離して…」

「立花が亮哉って呼んでくれたら離す」

なっ、なに言って…。
でも今離してくれないとほんとに死んじゃう。

でも呼び捨ては無理…。

「りょ、亮くん…っ」

「っ…まぁ、いっか」

ぱっと離れた私の腕。
私はそれと同時に資料を棚にしまい、足早に資料室を出た。