「亜子は食べ物何が好き?ごめんね、特に決めてなかったんだけど…」

ハンドルを握って車を運転しながら私に言う。

「えーと…パスタとか、お寿司とか好きですけど…夏目さんの好きなものがいいです」

「え…」

…え?
私何か変な事言った?!
夏目さんの好きなものが知りたくて言ったんだけど…。

それがいけなかったらしい。
信号待ちで車が止まった途端、夏目さんが私をぐいっと引き寄せた。

えっ?!

「あ、あ、あぶないですよ…?」

「…亜子が悪い。可愛すぎ…」

信号が青になり、パッとすぐに離れる夏目さん。

…今のはなんだったの?
心臓がバクバクと破裂しそうなくらいうるさい。

「…えっと…でも、私夏目さんの好きなものとか色々知りたくて…」

「はい、それ以上言わないでね。ほんとに俺どうにかなりそう。亜子に殺される」

夏目さんを見ると、少し顔が赤くなっていて、耳は真っ赤だった。