ちらっと夏目さんの様子を伺う。

バチッと目が合った。
その瞬間お互いにぷいっとそっぽを向く。

…な、なにか…。
あ、私改めてお礼言わなきゃ…。

「あ、あの…」

「お、おう…?」

なんか変に緊張してきちゃった。

でも、言うの。
言うのよ、亜子!

「…ありがとうございました。助けに来てくれて…」

ちゃんと、自分の言葉で。
面と向かって。
夏目さんの顔を見て…。

じっと見ていると、夏目さんは少し照れたのか、顔が赤くなった。

「い、いや、麗奈ちゃんが色々してくれてたし…俺は、むしろ亜子に助けられたし…カッコわりぃとこばっかで…。俺が、亜子にありがとう、だ、ばか」

か、感謝されてるのに、ばかって…。

でも、その『ばか』は、とても甘く優しかった。