名門、リディウス侯爵家の長男に生まれた僕はいずれ家を継ぐ身だ。
そんな僕には婚約者がいる。マリー・シュヴァーベン公爵令嬢だ。マリーと僕は政略結婚だけれど、一見して冷たくも見えるが内面は心優しいマリーを心から愛していた。
貴族の子弟が通う王立学園の最終学年である僕たちは、卒業後に結婚することが決まっていて本当に楽しみにしていた。

今となっては、マリーと本気で結婚できると信じていたあの頃が一番幸せだった。