さらっと玲一さんが取り出したのは婚姻届。
いつの間に持っていたの?
この用意周到さが、たまに引っ掛かるのは私だけ?
そんなことをチラッと考えてる内に両家の父親が証人欄に記入を終えた。

「これで大丈夫ですね。莉々花、帰ったら二人で書きましょうね?」

ニッコリと本当に嬉しそうな玲一さんに私も微笑み返す。

「はい、そうしましょうね」

かくして、どちらの親からも反対の声も上がらず、私たちはすんなりと結婚の承諾を得た。
玲一さんの予定通りに、明日婚姻届を提出することになりそうだ。
チラッと玲一さんを窺う。

「幸せになりましょうね?」
「はい、なりましょう」

私たちのやり取りを見た両親は、安心した様子。

「この感じなら、なにも心配ありませんね」
「そのようですね」

終始穏やかな時間を過ごした食事会は当初の通り、明日の入籍に関しても認めてもらって無事に終えた。

お酒を飲まなかった玲一さんに、そのまま連れられていった先。
そこはまたしても高級感溢れる宝石店だった。
キラキラと輝きを放つアクセサリー。
その中を玲一さんは迷わず指輪のたくさん並んだショーケースの前に歩いていった。

「莉々花、早急に話を進めてしまったので用意が間に合わず申し訳ありません。婚約指輪と結婚指輪を選びましょう?」

行動力の早さは本当にすごいなと改めて思ってしまった。