声かけの返事から、そう間を置かずに、玲一さんのご両親が現れた。

玲一さんのお父さんは、つまり私の会社の社長さんだ。

社内報などでその顔は知っていたが、実際に合うと玲一さんが渋くなったという。
ものすごくダンディーなおじさまだった。
この間も見たけれど、やっぱりお父様と並ぶお母様は年齢が測れないほどの美貌の持ち主だった。
玲一さんと並んでも親子に見えない。

「清水さん、この度は我が家の都合に合わせていただきありがとうございます。
今日は料理を楽しみつつ親睦を深められたらと思っております」
「こちらこそ、こういった場を設けていただきありがとうございます」

そんな両家のやり取りを見つつ、食事会はスタートした。
料理はどれも、見た目から美しく、味も抜群でとても美味しい。
穏やかに、流れていく時間のなか。

「それで、式はいつにするんだい?」

食事も終盤、互いの親も良い感じにお酒も入った頃そう聞かれた。

「どちらの親の反対がなければ、もう一緒に暮らそうと思ってて、明日にでも籍を入れたいと思ってるのですが、どうでしょう?」

切り出した、玲一さん。

「一緒に生活するならば、けじめもあるしな。我々は反対しないよ」
「私たちは莉ヶ花がそれで良いと思っているのなら反対しないよ」

そう両家の親から返事がきた。

「それでは、ここの証人欄に記入をお願いしてもいいですか?」