「話す相手の順番を間違えたことは、いくらでも謝ります」

そういった後、玲一さんはしっかり顔を上げて、まっすぐに私を見つめた。

「莉ヶ花、僕は君を、君が考える以上に好きで、愛しくて仕方ありません。失ったら生きていけないほど、愛しています。なので、交際期間もないのにと思うでしょうが……」

一息に話して息を吐くと、私の左手を両手で掲げ、薬指の根本に柔らかいキスを落とした。

「清水莉ヶ花さん、一生守り、愛し抜きます。僕と結婚してください」

真剣で、でも私の返事が彼は予想できていないのだろう。
彼は少し震える手で、そのまま私の左手を額につけて俯いてしまった。

「玲一さん。私、恋愛経験無いって言いましたよね?」

「えぇ、聞きました」
「結婚してからも恋愛って出来ますか?」

その私の言葉に、ハッとして顔を上げた彼に微笑む。

「恋人を飛ばして、夫婦になっても、家族が増えても、形が変わっていっても私を愛してくれますか?」
「もちろん。莉ヶ花は僕の人生で一番大切な人です。どんなに環境が変わっていっても莉ヶ花を思う気持ちは増えることはあっても、変わることはありません」

その答えを聞いて、私は彼に捕まることにした。