「えぇ、ゆっくりしていてくださいね。行ってきます」

「いってらっしゃい」

そうして見送った後、私は自分に宛てがわれた部屋に戻った。
痛みがあるのでなかなか早くも歩けず、ベッドに辿り着いたときには思った以上に疲弊していたので、そのまま横になるうちに寝てしまっていた。

どれくらい寝ていたのだろう?
起きて周りを見渡すと、すっかり空は茜色になっている。
お昼ご飯も食べず、様子を見に来たであろう玲一さんにも気付かないまま、爆睡していたらしい。

起きてベッドサイドの所を見るとペットボトルのミネラルウォーターと二切れのサンドイッチが置かれていた。
その横にはメモがあった。

『それはそれは良く眠っていたので、無理には起こしませんでした。起きてお腹が空いていたら食べてくださいね』

という、玲一さんからのメッセージだった。
たまごサンドとツナサンドが一切れずつ置いてあった。

起きたらやはりお腹が空いていたので、有難く食べることにした。

利き手でなにかを持つのが不自由で痛みが走るのを知っていたので、逆の手でも食べられるものにしてくれたのだろう。

とっても優しくて、気遣いの出来る大人の男の人。
そんな人がなんで私に一目惚れしたのかな?

大きな疑問は残ってるのに、こんな状況になってしまった。
確かにこの痛みが少し減らない限り、一人暮らしだとキツイものがある。
今週末まで。
それだけの期間だから。

そう言い聞かせて食べたあとは、トイレへと行くことに。
壁に手を付きつつ、ゆっくり歩いて行った。