病院を出てタクシーに乗り向った玲一さんの家は、都心の中心地にある高層タワーマンション。
そこの三十八階が玲一さんの住いだという。
オートロックにエレベーター、玄関までカードキーを通さないと開かないというセキュリティーの高さにマンション。
しかも、入口のカウンターにはコンシェルジュが居るのだ。
しかも二十四時間常駐だという。
サービス面もハイグレードな高級マンションだった。

「これ、ここの鍵のスペアです。莉々花に預けておきますから」

にこやかに告げられ渡される黒いカード。

「居候期間だけ、お預かりします」

そう答えると、少し悲しげにしつつも彼は返事をする。

「うん、そうだね。出掛けたくなったり、落ち着いて仕事できるようになっても、莉々花の方が帰りは早いからこの鍵で家に戻ってくれてていいからね?」
「分かりました」

そうして、案内されたリビングの広さが尋常じゃなかった。
リビングだけで、実家が丸々入ってしまうような広さだ。
メゾネットになってて、マンションなのに中に階段もある。
三十八階が実質最上階で、その最上階だけメゾネットで二階があるのだという。

ちなみに間取りは6LDK。

ファミリーでも客間が出来るほどの広さである。

キッチンはアイランドキッチンだし、広さも設備も十分だ。
大きな冷蔵庫もある。

もう、驚きしかない。
そんな部屋だった。