有難く、用意してもらった服に着替える。
可愛らしいバルーンのワンピース。
生地には光沢感があり、でも落ち着いた紺色なので清楚感がある。
そこに白に首周りと手の周りに紺のラインが入ったカーディガンを合わせてみると。
完璧に清楚なお嬢様のマリンスタイルだ。
可愛いし、シルエットが綺麗に出る。
これ、ちょっとお高いところのでは?と思わず疑問が浮かぶものの着替えも完了して、ローヒールのサンダルまであったのでそちらに履き替える。
靴とカーディガンを見た時に目を見開いた。
自社の高級路線ブランドのLA MERの服と靴だったのだ。
全身揃えたら薄給OLの一ヶ月のお給料が飛んでいく。
そんなブランドだ。

「有希子、なんでこんな高級ラインを選んできたの」

思わず小さく呟き、お財布の心配をしてしまう私。
堅実に貯金をしてきたので無い訳では無いが、痛い出費だ。

しかも、一泊とはいえ個室の病室に入院してしまった。
その費用もこれから払わなければならない。
ちょっと痛いが仕方ないと諦めつつ、着替えが済んだので、待ってる玲一さんに声を掛けた。

「着替え終わりました」

入ってきた玲一さんは何故か固まった。

「どうかしましたか?」
「うん、うちの服がよく似合ってるなと思って。これなら色々似合いそうだし、用意した服で大丈夫そうだね」

はて?なんのお話?