食事が済んだら退院手続きをして、自宅に帰る。
痛みが治まれば会社にも行けるだろう。
幸い顔なんかには傷や痣は無いみたいだし。

ただ、その痛みのある間はどこまで自力で出来るのか。
少しの不安は残るが、頭には異常は無いと言われたしゆっくりやってけばいいかと開き直っていた所に、ノックの音がした。

「はい、どうぞ」

返事をすると

「おはようございます。莉々花、どうですか?」

病室に来たのは玲一さんだった。
朝早めの登場に驚く。

「えっと、少し痛みますけど。今は朝また鎮痛剤を飲んだので……」

無理しない、素直に言うと有希子にも指摘されたし致し方ないというか。
そんな感じの思いをしつつ答える。

「そうですか。では、昨日の受付の制服は血が付いてしまいましたので、処分させてもらいました。仕事復帰の際には新しい制服を用意しますので、心配しないでください」

その後に差し出されるのは大きめの紙袋が一つ。

「それで、着る服が無いだろうと思いまして昨日会社に戻る前、有坂さんに今日の為の着替えを用意してもらいました。これに着替えてください。僕は廊下で待ちますから」

そうして、手渡された紙袋にはノースリーブのワンピースにストッキングに下着、薄手のカーディガンが入っていた。

さすが有希子。
ちょこちょことシーズン毎に買い物に一緒に行く私達なので、互いの服の好みも下着のサイズも知っている。
今回はそれが大変役に立ったようだ。