私の声に私の瞳を覗き込んで、その答えを待っている。
綺麗なアーモンドアイの焦げ茶の瞳は私を見つめて不安気に揺れている。

「許します。これで玲一さんに離れていかれる方が私は嫌ですよ」

そう言うと、詰めていた息を吐き出して私の額に自分の額を合わせてきた。
近い距離に今度は私が息を詰める羽目になる。

「ありがとうございます。莉々花も休みたいでしょうから今日はこれで失礼します。明日の退院、迎えに来ますから待っててくださいね?」
「そんな、タクシーとかで大丈夫ですから!」
「いいえ、あの高さから落ちた打ち身を甘く見てはいけません。必ず迎えに来ますから、待っていてくださいね?いいですね?」

そこには、いつもの有無を言わさない決定事項を告げる丁寧で強引な玲一さんが居た。

「分かりました。明日お待ちしてますので、よろしくお願いします」

こうして、私にとっての波乱の一日がようやく幕を閉じることとなった。