「犯人は分かりました。防犯カメラにしっかりと映っていたので。本日付けで懲戒解雇処分にしましたので出勤して来る頃には落ち着いていると思います。すみません、僕の目が行き届かなかったせいで、こんな事に…」

その声にはありありと後悔の念が滲んでいて、その綺麗な顔が悲しさに染まっている。
何故か私はその顔が綺麗だけど悲しくて、私の頬に置かれた手にそっと私も手を重ねるべく動いた。
痛みは無視だ。

「玲一さんは、何も悪くありません。悪いのはこういった行動を起こしてしまった加害者です。だから玲一さんがそんなに責任を感じて悲しげにしているのは、私まで悲しくなります」

私の気持ちを素直に口にした。
だって、私はこの前から柔らかく優しく微笑んでくれるその顔を見るのが、わりと好きみたいだから。

「莉々花、すみませんでした。僕がもっと自制していたら。ここまでにはならなかったかもしれません。でも、それでも僕は君と離れるということは出来ません。こんな僕を許してくれますか?」

まるで祈るように、その声は懇願している。
声に、触れる手に、その表情に想いが溢れている。

「許す許さないとか、無いと思うんですけど。玲一さんは私がキチンと答えないと動けないみたいですね。それなら答えは簡単です」