「莉々花!大丈夫でしたか?社食で僕のせいで絡まれたと聞きました」

そう言った玲一さんは酷く焦りを浮かべている。

「変に他の女子社員に絡まれて、それで嫌にでもなられたら僕はどうすれば良いのかと。いてもたってもいられず、顔を見に来てしまいました」

こぼされた言葉に驚きを隠せない。
好きだとは言われたし、これからどんどん攻めるので覚悟してとか。
本当のことのようには思えなくて、私は本気とは捉えてなかったのだ。
それが、かなり外れていてたことが今の玲一さんの表情から読み取れる。

「大丈夫ですよ。そんなことで副社長を嫌いになったりしませんから。まだお仕事の途中ですよね?戻って仕事してください?」
「本当だね?嫌になったりしないね?」
「はい、本当に。だから戻ってくださいね?」
「うん、戻るよ」

そう言うと、私の頭を撫でて愛しい気持ちを隠さない目線で、私を見つめる副社長の顔を見て、今更ながらにここはエントランスで受付だ。

たくさんの人に見られたことで、副社長は受付の女子社員にメロメロとの噂がどんどんと社内に溢れ、それに気づいた途端に一気に玲一さんは私を好きなことを全く隠さず、社内でもどんどんアプローチしてきて名物になってきてしまった。

最近では、それが社外の取引先にも伝わっており、受付の私にまで腰を低くして問いかけてくる人もいるようになってしまった。