俺は、チェシャに向かって早口で尋ねた。


「エラとシラユキを見なかったか?この森に入って行ったはずなんだが。」


「!」


その瞬間。

彼のローズピンクの瞳が一瞬鈍く光った。


「…し、知らない。」


(…?)


どこか動揺する彼に、俺は眉を寄せる。

視線を逸らし始めたチェシャは、それ以上何も言おうとしなかった。

俺は、頭痛を堪えながら森を見上げる。


「そうか…分かった、ありがとな。…はぁ、仕方ない。森に入って探すしかないか。」


そう呟いた瞬間。

チェシャが、ぱっ!と俺の腕を掴んだ。


「だめ!危ないよ!」


「!」


くいっ、と俺を引き止めるチェシャは、つい無意識に出たように言葉を続けた。


「森に入ったところで会えるわけないよ!あの2人だって、分かれ道より先に進んだら帰ってこれるか………」


そこまで言いかけ、チェシャは、はっ!と目を見開いた。

嫌な予感を察した俺は、低く問う。


「…チェシャ。あの2人に何をした…?」